紛らわしい宝石名：フォルスネーム一覧

天然石の業界では、実際の石の種類とは異なる紛らわしい名称が通称として付けられることがあります。
このような紛らわしい名称のことを、フォルスネームと言います。

フォルスネームの名称は、石名の前に何らかの修飾語句が付く（〇〇ルビー、〇〇サファイア、など）という構造を取りますが、このような構造の名称だからと言って必ずしもフォルスネームに当たるとは限らないのが厄介なところです。

フォルスネームは、ひと昔前まではお店でもよく見聞きした記憶がありますが、最近では、まともなお店であればそもそもフォルスネームを使うこと自体が減ってきたように思います。
昔に比べると情報公開や消費者保護がより重要視されるようになってきたこともあり、売り手にとってフォルスネームの使用がリスク（買い手とのトラブル）につながるようになっていることが背景にあるのかもしれません。
とは言っても、ネットでの個人間取引で石に詳しくない売り手が昔に購入した商品をそのままの名称で出品しているとか、海外（消費者保護等の意識が低い国）で購入する場合などはまだまだフォルスネームが使われていたりするかもしれないので、注意するに越したことはありません。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで今回は代表的なフォルスネームの一覧を紹介します。

フォルスネームとは？

天然石の業界では、本来の石の種類とは異なる紛らわしい名称が付けられることがあります。
このような紛らわしい名称を、フォルスネームと言います。
フォルスネームには、例えば以下のようなものがあります。

知識がないとフォルスネームかどうかの判別は困難

天然石の名前には、様々な修飾語句が付きます。
最も多いパターンは、「色名＋石名」や「産地名＋石名」です、「一般名詞（たいてい、色を示唆するもの）＋石名」のようなものもあります。

このほか、スター・サファイア、スタ・ールビー、カラーチェンジ・ガーネットなどのような「特殊効果＋石名」という構造を持ったものや、特殊なパターンとしてインディゴライト（ブルートルマリンの中でも濃青色のもの。インディゴ（藍色）にちなんだ名称）やツァボライト（グリーングロッシュラーガーネット。ケニアのツァボ国立公園で発見されたことにちなんだ名称）などの「別名」（鉱物名や宝石名とは直接関係しない名称）も存在します。

言語学的に言うと、修飾語というのは対象を限定するものです。
例えば、イエローサファイアであれば、イエローという修飾語が「サファイアという集合に属するもののうち、黄色のもの」に限定するという効果を持ちます。
同様に、ビルマルビーであれば、ルビーのうちビルマ（ミャンマー）産のものという具合になります。

すべての「修飾語＋石名」がこのようなパターンであれば話は簡単ですが、中にはこのような解釈が当てはまらず、石名と実際の鉱物・宝石名とは全く別のものを指す場合があります。
そうしたずれが生じてしまうと、それがいわゆるフォルスネームとなります。
名称と実際に指すものが異なるので、知らずに買ってしまうと騙されたという気にしかならないので、フォルスネームには注意が必要だということになります。

フォルスネームは、より価値の高い石の名前を借りることで価値が高いように見せるためのものなので、通常は名称の中に高価な石（ダイヤモンドやルビー、サファイア、エメラルドなど）が含まれやすい傾向があるとは言えますが、それだけではフォルスネームか否かの判断の根拠にはなり得ません。
何の石なのか自信が持てない場合、その石の鉱物名（または宝石名）を聞いてみると良いでしょう（普通は（よほど悪質な店でない限り）、教えてくれるはずです）。
また、以下のフォルスネーム一覧を見て頭の片隅に置いておくと、何かの時に役に立つかもしれません。

フォルスネーム一覧

この一覧は『ジュエリーと宝石の賢い買い方』の情報に基づくものです。
正直言うと、一度も聞いたことがないような超マイナーなものも含まれていますが、とりあえず挙げています。
なお、ここに挙げられているのがフォルスネームのすべてということではありませんのでご注意ください。

〇〇・ダイヤモンド

〇〇・エメラルド

〇〇・ジェード（ヒスイ）

〇〇・オパール

〇〇・パール

〇〇・ルビー

〇〇・サファイア

〇〇・トパーズ