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天然石に対する人為的処理の種類と鑑別書での表記もくじ
コーティング処理
石の表面に色の層を付けることによって、色や外観を変化させる処理を指します。
コーティングでは、単に石に塗料を塗るだけの処理もあれば、化学的手法によって着色層を石の表面に蒸着させる処理もあります。
前者に比べて後者の方が耐久性は高い傾向がありますが、どちらにしても、表面にひっかき傷が付いたり摩耗で塗装が剥がれたりしやすいので、丁寧に扱うようにした方がよいでしょう。
鑑別書での開示コメント
コーティング処理が行われている場合、鑑別書に「コーティングによる着色処理が行われています。」や「コーティング処理が行われています。」といった記載が入ります。
コーティング処理が石の市場価値に与える影響
そのままで価値がある石であればコーティング処理がされることはまずありません。
したがって、コーティング処理された石というのは、宝石としての価値は低いと言えます。
パワーストーン系の石には、この手の処理がされていることが多い印象です。
コーティングによって、自然の状態では存在しないような鮮やかな色や、虹色のような特殊な発色の石を作り出すこともでき、それらを安価で手に入れられるようになるので、そういうものと割り切って色などを楽しむのが良いでしょう。
コーティングはすべての石に対して行われる可能性がありますが、よく見かけるのは水晶にコーティングを施して独特の色や表面光沢を持たせたタイプの石(アクアオーラなど、〇〇オーラと呼ばれているタイプの石など)でしょう。これらの石は、「金属イオンを蒸着させている」といった情報開示が行ったうえで販売されていることが多く、価格もそれほど高くありません。天然水晶には見られない独特の風合いが楽しめるので、処理がされたことを承知したうえで購入する分には全く問題がありません。
トパーズにもコーティング処理が行われていることがあり、ミスティックトパーズなどの名称で販売されていることがあります。こちらも、天然のものには見られない独特の風合いなので、無処理のものだと勘違いすることはないでしょう(希少なものだと勘違いしないようにしましょう)。
個人的な経験上注意が必要だと感じるのは、コーティング処理によってピンク~レッドの色合いにしたトパーズが、処理がされていることを明記せずに販売されていることがあるという点です。コーティング処理がされていないピンク~レッドのトパーズは非常に高価ですが、コーティング処理によるピンク~レッドのトパーズは、天然のトパーズであるとは言っても安価なものです。コーティング処理されたトパーズは安価に販売されていることが多いですが、悪意を持った販売者が非常に高い値段で販売することがないとは限らないので気を付けておくに越したことはありません。コーティング処理による色は不自然なほど鮮やかな色であることが多いので、慣れてくると怪しいと気づくのは簡単だと思います。
その他、パワーストーン系の石で言うと、以前モリオン(黒水晶)を購入しようとした際、モリオンの中には表面にマジックで黒く色を塗った石があるので注意が必要だと聞いたことがあります。モリオンははっきりとした黒い色であるほど評価が高くなり、色を濃くするために放射線照射処理がされる場合があるので、購入前にお店の人に放射線照射処理の有無を尋ねたのですが、その際、照射処理の有無(鑑別では判断がつかない)よりも表面にインクで色を塗った石があることに注意した方がいいと店員さんが教えてくれました。そのお店では、色が塗られていないかどうか確認するため、すべての石をアルコールで拭いて確認しているそうです。パワーストーン系の石の場合、宝石タイプの石と比べてそもそもの価格帯が低く、鑑別を取らないことも多い(鑑別代金の方が高くつくこともある)ので、知識の豊富なお店で購入することが重要だと感じた次第です。